第十章 薔薇の木・・・雫気付いて、気付いて・・・ 私はここにいるの・・・ 第十章 薔薇の木 音が聞こえてきた方向は、パーク建設予定地ブルー。 そこには、リヴリーの死体と、 その血で体を赤く染めたローズウッドがいた。 「お前・・・」 雫は歯を食いしばると、手から刃を取り出し、ローズウッドに向かう。 「なんてことを・・・」 幽は死んだリヴの一匹、黄色いイッカクフェレルに手を伸ばす。 そのときだった。 幽に、死んだはずのイッカクフェレルが牙をむいたのは。 「いたいっ!」 リヴリーに、牙などあるはずはないのに。 「えっ・・・」 死んだはずのイッカクフェレルや、他のリヴリーたちが次々と立ち上がり、ふらふらとした足取りで歩き出したのだ。 こちらへ向かって。 「ぁ・・・ぇ・・・」 幽は戸惑った。 雫が、ローズウッドの鎌に抵抗しながら叫ぶ。 「バカ!剣を出せ!そいつらはリヴリーじゃない、俺たちの仲間じゃない・・・! ただの化け物だ!早くやれ!」 幽は言われたとおり剣を取り出したが、 先頭のイッカクフェレルをなぎ払ったところで、座り込んだ。 「やだ・・・痛い」 さっき、イッカクフェレルにかまれたところが、 消 え て い る 。 な く な っ て い る の だ 。 そして、幽かは気付く。 亡霊のリヴリーの先頭に立って歩いている人物、 それは 煮物4世・・・ 「どうやら、俺の中には、まだ冷たい黒い血が流れていたみたいだな」 そういうと、 幽の家に来たときに持っていた、お土産の箱を取り出す。 「この箱には、何が入っていると思う?」 「おみやげ?」 幽は答える。 「ちがう、死体を生き人形に変える、くすりだ。」 それがどういう意味をしているのか、幽には分からなかった。 |